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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)388号 判決

被告人

淸水政吉事

卞三碩

主文

原判決を破棄する。

本件を名古屋地方裁判所に差し戻す。

理由

原審第二回公判調書を閲すると、弁護人が被告人は当時酒に醉つて居て心神耗弱の状態であつたので被告人に対しては出來るだけ軽く処断すべきであるとの被告人に有利な意見を述べた旨が記載されて居り、之に依れば、右弁護人は原審公判廷に於て、被告人の本件犯行に付、被告人が同犯行当時酊醉の余り心神耗弱の状態にあつたのであるから、心神耗弱者の行爲として、其の刑を減軽さるべき旨の主張を爲したことが明白であつて、斯の如きは刑事訴訟法第三百三十五條第二項に所謂法律上刑を減軽すべき理由となる事実の主張に該当するものと謂わなければならぬ。然らば、原判決は該主張に対し、其の判断を示さなければならなかつたのに拘らず、原判決を精査するも、原判決に於て右主張に対し何等判示した事跡が認め得られないので、原判決には、其の訴訟手続に法令の違反があるものと断じなければならず、然かも該違法は判決に影響を及ぼすことが明かなものと解するの外ない。從つて之と同一趣旨の下に原判決を論難する本論旨は其の理由がある。

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